質問者:とがし 投稿日:2024.04.07 記事番号:040724106480000007
理事長宅を事務所に無償で使用しています。
会の資料や備品の保管(おおよそ1部屋分)
毎月2~3回の打合せに使用
イベント後に使用した物品の洗浄等
を理事長宅を借りて進めています。
このような状況にかんがみて、月1万円(年額12万円)程度を、
事務所賃借料として会から出そうと検討しています。
この対応をした場合、
契約上の注意点(会と理事長との間で契約を交わす、総会や理事会で議決し記録に残す等)
税務上の注意点(会の経理対応、支払いを受ける理事長の税務対応等)
など、どのような対応が必要か、助言をいただきたくお願い申し上げます。
回答者:岩永 淸滋 投稿日:2024.04.08 記事番号:040824106490000001
理事長の不動産を法人が賃借する場合は、いわゆる利益相反取引となり、理事長個人と理事長を代表とする法人が契約を締結することはできません。この場合原則は所轄庁に特別代理人の選任の申立をすることになりますが、副理事長など他に元々代表権のある理事がいる場合は、その方の名前で契約することができます。詳しくは内閣府のNPO法Q&Aの2-3-12などを参考にしてください。
法人の方は賃借料として経理処理すれば良いでしょう。その賃借目的はご質問を拝見する限り法人の本来の事業に使われるものと推察されますし、特に法人税法上の収益事業に該当しないと思われますから税法上問題となることはないと考えます。
理事長個人の方は明らかに不動産所得となりますので原則的には確定申告が必要になります。ただ理事長個人が給与所得者でこれ以外の副収入がない場合は、所得が年間20万円を超えない場合は確定申告は不要になります。
1万円という金額は特に問題になるとは思われませんが、不相当に高額な賃借料を理事長に支払うことは禁じられていますので、その地域の相場などを参考にして、その金額が適正であるという根拠を用意しておく方が良いでしょう。それらのことも記載した理事会の議事録なども保存しておくべきでしょう。
回答者:とがし 投稿日:2024.04.15 記事番号:041524106510000001
回答ありがとうございました。
参考になりました。
追加の質問です。
前回、契約と税務上の注意事項で伺いましたが、前者(契約)についての質問です。
今回質問している事例における契約についてですが、
例えば契約自体締結しないで進めることはできますか?
契約締結をしないで、総会で議決承認を得た上で支払うことはできるのか、
助言をいただけると幸いです。
回答者:岩永 淸滋 投稿日:2024.04.19 記事番号:041924106530000005
契約しないで進めるということの意味が今ひとつよくわかりません。
貸し手は事務所として提供することに合意し、借り手はそのサービスを受ける対価として賃借料を支払うことに合意しているということであれば、その段階ですでに法律的な契約は成立していることになります。
書類としての「契約書」というのは今述べた法律上の契約の成立を明確にするために作成するためのものであって、書類がなければ契約は成立しないということではありません。個人間では口頭の契約というのは頻繁にあります。
ただ当事者の一方が法人であり、総会などの承認を得ると言うことであれば書類としての契約書を作成しておく方が望ましいでしょう。形式などはそんなに気にしないでもいいでしょう。
前にも回答しましたが1万円の賃借料を今後支払うことそのものは問題ないと考えます。望ましくないのは、法人にお金があるときは支払い、そうでない時はまた無料にするといった恣意的な運用をすることです。そういった不安定なことをしているときは問題になる場合があります。そのようなおそれがあるのならば、今一度今回の話をみなさんで慎重に検討した方がいいでしょう。